
研究計画を作成する
作成を始める前に
以下のコラムに、研究計画書とはどのようなものか、何が求められているのかが書かれています。まずはこちらを事前に確認してください。
これを読み、NGな研究計画書について理解した後に、以下を読んで取り組んでください。
研究計画書の構成
研究計画書には分野により異なる作法がある場合もありますが、ここではそのうちの1例を挙げます。
1. タイトル
研究テーマを明記します。分かりやすさとともに、研究の新規性が明確に伝わることが重要です。
2. 研究背景と目的(イントロダクションとも)
はじめに、なぜその研究が重要かを記載します。これは社会的な課題を書く場合もあれば、先行研究レビューを記載する場合もあります。どちらも書くとなお良いでしょう。その次に、リサーチギャップ(重要であるが先行研究ではやられていない間隙)を明記します。これを書くためには、ある程度の先行研究の紹介が必要です。その後に、リサーチクエスチョン(?で終わる研究課題の1文)を明記します。最後にここまでの内容を踏まえた研究目的を明記します。
3. 先行研究
関連する先行研究を整理します。重要な点は、ただ紹介するだけでは不十分ということです。どのような課題が残されているか、本研究はどのような観点からそれに取り組むのか、ということも明確にします。
4. 仮説(仮説検証型研究の場合)
仮説検証型検証として研究計画を作成したい場合には、先行研究レビューを踏まえた仮説を明記します。注意が必要なのは、「ぽっと出、思いつきの」仮説を提示するのはNGということです。研究仮説とは、先行研究で明らかになってきた知見をつなぎ合わせることで推測される、根拠あるメカニズムとして整理されなければなりません。
5. 手法
リサーチクエスチョンへの回答を得るために、仮説検証型研究の場合には仮説を検証するために必要な手法を詳細に書きます。典型的には、データ取得方法(サンプリング)、変数の設計、分析手法といったサブセクションが含まれます。
6. 期待される結果と得られることが期待される示唆
ここまでの手法により、どのような結果や示唆が得られるかを簡潔にまとめます。
7. タイムスケジュール
この研究計画を達成するための具体的なスケジュールを策定します。図か表で示すことが良いでしょう。なお、先行研究調査や基礎的な勉強などは入れない方が好ましい。これらは研究計画を作成する段階で済ませているべきだからです。
8. 参考文献リスト
この研究計画で引用した先行研究や参考情報を整理します。ページ制限によるが10~20程度が望ましいでしょう。なお引用したものは全て、本文で適切に引用する必要があります。
研究計画書の作成方法
さて、上記のように研究計画書の構成を記載しましたが、これを読んでも結局はどのように書けばいいか分からない人がほとんどだと思います。もっとも簡単な方法は、先行研究レビューで集めた原著論文のうち、自分が実施したい研究に近いものをいくつか選び、それを参考にすることです。研究計画書とは、原著論文の執筆に至るための実施計画書なので、端的にいえば原著論文のうちイントロダクション、先行研究レビュー(と仮説)、手法のセクションまでは、必要な内容はほとんど同じです。つまり、既存の優れた論文のこれらのセクションの書きぶりを参考にして、そのように自分の研究計画を構成していけばよいのです。
博士課程進学の場合の研究計画書の構成
博士課程の場合も上記の研究計画書の構成や作成方法と基本的には同じです。ただし博士課程の場合、大抵は論文を3本ほど査読付きジャーナルに投稿し、その内容を繋げて一つの大論文として再構成することで、博士論文とします。そのため例えば、以下のような構成になります。
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タイトル
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研究背景と大目的
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研究1の詳細
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研究2の詳細
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研究3の詳細
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タイムスケジュール
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参考文献リスト
※各研究部分の内訳(それぞれ独立した論文に対応する)
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タイトル
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研究背景と小目的
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先行研究と仮説(仮説検証型研究の場合)
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手法
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期待される結果と得られることが期待される示唆
課題
ここまでの内容を踏まえて、研究計画書を作成してみましょう。基本的な手順は以下のようになります。
前段階(ここまでで既に完了している前提の内容です)
・研究テーマを決定が終わっている。
・先行研究レビューが終わっている。
第1段階
・参考にする論文を3~5本ほどピックアップしましょう。これは、その分野で有力なジャーナルの論文であることが望ましいです。
・参考論文を見つつ、一通り前から書いていきましょう
・まずは必要な内容を埋めて、ドラフト完成させましょう。
第2段階
・ドラフト完成後に数日空けた後、前から改めて読んで矛盾点が無いかを確認しましょう。大抵は多数の矛盾点が生じているはずなので、修正を加えましょう。
・これを何度か繰り返し、自分では修正すべき点が見つからない状態になるまで推敲します。
第3段階
・誰かに読んでもらって忌憚なきコメントをもらいましょう。見てもらう人はその分野に詳しい人が望ましいです。ただし、例えば自分の両親であったり、その分野を全く知らない人に見てもらうことも有効です。優れた研究計画書とは、誰が見ても理解できるようなものであることが望ましいからです。
・何人かに見てもらって、特にコメントが出なくなれば完成です。
作成者:井上祐樹

